海外駐在員っていうのは最高の仕事。金銭的にも仕事内容的にも。

海外旅行って最高に楽しい。
日本国内旅行も楽しいけど、海外行くと異文化を体感できるところが良いのだ。言葉、食べ物、町や人の雰囲気。全部日本のそれらとは違って最高に刺激的だ。

あと匂いとかもね。ぼくの初めての海外は、東南アジアの国マレーシアなんだけど、飛行機を降りた瞬間に体を包み込む濃厚な湿気と鼻の奥のほうまで湿らせるようなむわっとした匂い。おー、今まで感じたことのない感覚。経験したことを体験する高揚感。

そう、海外に行くと確実に新しい体験ができるのだ。それが醍醐味なのだ。

うわっ、なんだあの玉ねぎの形をした建物は!とか

この大音量で町中に響き渡る声で唱えている歌みたいな放送はなんだ!とか

え、あの人身体を黒い布で覆い隠して、目だけしか見えないじゃん。見た目こえーぞ。とか。

体中の毛穴まで刺激するような新しい体験、自分の知らない新しい世界。それがたまらないんだ。

だからぼくは海外に興味がある。正直なところ宗教とか歴史とかそういった座学で知る部分っていうのは全く響いてこないし、よし学ぶぞっと勢いつけて地球の歩き方とか読み始めても3分経ったら既に読むのをやめてる。飽きちゃうんだよな。

それよりも体験したい。自分で体験したいという欲求が恐ろしく強いんだ。なんでも自分でやってみたいんだ。未曽有の体験が、ぼくの脳みそを震わせて、ぼくの身体をびくびく振動させる。それが快感なんだ。

訪れた時に住みたいって直感的に思った国に本当に住んでしまう性癖。

大学生の時、卒業旅行でアメリカ西海岸に行った。

サンフランシスコ、LA、ラスベガスを巡る旅だ。始めてのアメリカ。初めての自由の国は刺激的過ぎた。LAの海岸沿いの大学UCLAを見たとき、そのキャンパスの緑と全てを見ることができないほど広くて青い空にハートをぶち抜かれた。

おれは絶対ここに住みたいって思ったんだ。

そしてその2年後にはサンフランシスコに住んでいた。新卒で入った会社を辞めてね。

同じような胸ドキュン体験がもう一度あるんだ。

それは出張で訪れた国シンガポール。

シンガポールに訪れるまでにも海外出張は多かった。ベルギー、スペイン、オランダ、ドイツ、イギリス、バンコク。どこも最高にクールな町だったし、刺激的な体験だった。けど、おれはここに住むんだっていう衝動にしびれたことは無かった。

でも不思議なことにシンガポールを訪れたときはそう思ったんだ。おれは絶対にここに戻ってくる。ここに住んで仕事をするって。それはもう、お腹がすいたからご飯を食べるっていうくらい自然で素直な気持ちだった。

その1年後にはシンガポールに住み始めたんだ。今回は仕事で。つまり海外駐在員として。

いや、出だしはかなり辛かったよ。でもやっぱ駐在員っていうのは超絶おいしい立ち位置だ。

駐在員さいこう。おいしすぎる。

何が良いって待遇が良い。まあ滞在先の国にもよるし、勤め先にもよるんだけどさ、基本的には良いことだらけだ。

  • 家賃は会社が負担
  • 海外赴任手当がつく
  • 仕事の裁量範囲が広い

家なんて高級だぜ。家賃月40万円とかのプール付き、ジム付き、ガードマンが(いちおう)守ってますのコンドミニアムに住める。しかも自己負担無し。やばくねこれ。

その上海外赴任手当ってのが給料にプラスされて支給されるわけだ。特殊任務についてることに対する報酬ですね。いやーあざす。マジ最高です。

おれさ、アメリカで現地採用の経験があるんだけど、その待遇の悪さと比べたら雲泥の差。月とすっぽんこのやろうだよ。現地採用なんてきちーよ。ぺーぺーだったし、もちろん薄給で。家賃を抑えるためにシェアハウスしてさ、メシは街の屋台で売ってるシシカバブ。

いや、現地採用の時も最高に楽しくご機嫌に暮らしていたのは間違いないんだけどさ、待遇面で比べてみると駐在員っていうのはしびれちゃうくらいに良い立ち位置なのよ。

金銭的な待遇が良いことに加えて、仕事の面では裁量の範囲がどこまでも広いっていうのもまた魅力的なんだ。日本だと縦割り年功序列の中の歯車的仕事をこなすのがスタンダードだけど、海外に出るとその仕組みから解放される。やるべきことは山ほどあるし、会社の仕事全てが自分の仕事っていうくらい自分の担うべき仕事の範囲が広いんだ。海外拠点の規模が大きいとまた話は違ってくるのかもだけど。

駐在員の悩みとして、日本のマネジメントとの温度差の違いを埋めるための調整が辛いっていう話をよく聞く。それは実際自分も経験したからわかるんだけど、それってもっとフランクに気軽に捉えて良いと思うんだよね。

結局日本で口出してるだけの人には海外の事情なんて分かるわけないんだからさ、しっかり伝えようなんて思わなくて良いでしょ。本気だして調整するのは本社に稟議回して承認を得るときだけ。そのほかは適当に日本側が喜ぶことを伝えてれば乗り切れるんじゃね?

数字で管理されててもさ、できる限りのことをやってそれで結果がでなければそれは仕方ないわけで。残念で無念だけど自分の力及ばずってことで素直に受け入れてさ。また前を向いて頑張れば良いでしょ。

という感じで、駐在員特有の悩みはあるとはいえ、任された仕事の範囲が広いっていうのはもろ手を上げて喜ぶべきことであると思うんだよ。だって自分のアイデアを自分の裁量で実践することができるんだぜ。しかもその資金は会社持ちなわけだぜ。失敗するリスクはあっても失敗して自分が被る損害っていうのは無いに等しい。

え?失敗したら評価がさがるって?成功するまでやれば良くね?そしてその前向きな行動の結果としての失敗と成功の経験は、必ず自分の糧となり、自分をよりたくましく成長させてくれるんだから。

駐在最高、だけど駐在辞めて独立してしまった。それは新しい体験の衝動がおれを突き動かしたから。

止まない雨は無い。明けない夜は無い。そして終わらない駐在も無いのだ。

ついにおれの栄光の駐在生活も終わりを告げる時が来た。さようなら輝かしい日々。さようならチュウザイ。

ということで海外駐在には任期っていうものがあって、いずれは本国に帰らなければいけないんだよね。3年とか5年とかそういったタームで。だから終わりが来るんだ。

でもやっぱ海外って最高っていう気持ちが強くて、そして会社の都合で住む場所を決められたくないぜっていう自立心?がおれを突き動かして、その結果どうなったかっていうと、脱サラ起業。

いやー、ずっとやってみたかったんだよね、起業ってやつ。これもおれの新しいことを経験したい性癖の為せる業。これからも変わらず自分の好奇心に素直に生きていくんだ。次は台湾を狙っている。嗚呼、楽しみだ。

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